安岡章太郎の『サアカスの馬』という小説を、中学校の時、国語の教科書で読んだ。主人公の中学生の少年は、何をやってもうだつがあがらない。勉強もスポーツもぱっとせず、特技もない。
凡庸な自分に対するもどかしさを自覚しながら、いつも心の中で「まあいいや、どうだって」とつぶやいてごまかす。そんな少年の住む町に、サーカス団が興行にやってきた。少年は、小屋の裏手につながれた一座の見世物である一匹の馬を目にする。貧相で生気がなく、「自分と同じだ」という共感を抱く。ある日少年がサーカスを見に行くと、その馬は人を乗せて生き生きと芸をし、満場の喝采を浴びている。実はその馬は、サーカス団の花形だったことを少年は知る。少年は馬に一生懸命拍手を送りながら、次第に明るい気持ちになっていく。
大人になり、競馬を始めてから、馬に元気づけられた少年の気分をしばしば味わうこととなった。「競馬はロマン」とよく言われるが、ファンは、強い馬ばかりを追い求めて馬券を買うわけでもない。健気で悲壮感も漂わせながら懸命に走る競走馬の姿に、自分なりの思い入れを投影する。
地方馬ハイセイコーが中央のエリート馬に挑んで、競馬に興味のなかった庶民の支持を呼んだ。全盛期を過ぎたオグリキャップやトウカイテイオーをなお信じるファンを狂喜させた奇跡の復活。ツインターボの大逃げに、勝負を超えてどよめきと声援が競馬場を包んだ。負け続ける地方場ハルウララに全国から寄せられた応援。競馬ファンの心理は複雑なところがある。
かつて競馬場は、予想紙と赤ペン片手に柄の悪い親父達が集まる場所として、一般の人には敬遠されがちだったが、今や家族やカップルが1日遊べるレジャースポットの趣もたたえるようになった。最高の醍醐味は、ファンファーレやファンの歓声と怒号が飛び交うGⅠレースの観戦に違いないが、緑鮮やかなターフや、鍛え抜かれたサラブレッドの美しい馬体をパドックで眺めて憩う人も多い。
2000年にJRA(日本中央競馬会)が、20世紀の名馬100を選定しようと、ファンから投票を募った。1位はナリタブライアン。クラシック3冠をすべて圧勝で飾った姿が今なお記憶に新しい。
Reference: 20世紀の名馬Dream Horses2000
Posted: 22 March 2009
名馬Dream Horses 2000
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JRAが2000年にファン投票によって選定した「名馬Dream Horses2000」の上位100馬をリストアップしています。名前をクリックすると動画が再生されます。


