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剛球投手列伝

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史上最速投手は誰か?スピードガンの登場以降に限っては、答えが明確に示されるようになった。日本球界では伊良部が長らく最速王として君臨していたが、昨シーズン、ヤクルトの由規が時速161キロをマークしてその座に取って代わった。巨人の新人澤村や東海大の菅野らもアマチュアながら150キロ台後半を誇り、今後の記録更新が注目される。

米球界では「100マイルクラブ」と呼ばれる160キロ超えのピッチャーが、現役で数人存在する。Bob-Fellerデトロイト・タイガースのジョエル・ズマヤは166キロをたびたび計測し、WBCの日本戦で登板したキューバ出身のアロルディス・チャップマン(シンシナティ・レッズ)は、昨年の公式戦で168キロを出して、球場をどよめかせた。

問題はスピードガン以前の伝説の速球王たち。いったいどれくらい速かったのか。

先日92歳で亡くなった元クリーブランド・インディアンスのエース、ボブ・フェラーは、日本でも「火の玉投手」の異名で知れ渡っていたが、アメリカではオールタイム最速投手との評価がある。そのフェラーの球速測定が、1946年8月20日にグリフィス・スタジアムで行われている。ワシントン・セネタースのオーナー、クラーク・グリフィスが、観客増員を狙ってインディアンス戦の試合前のエキシビジョンとして企画したのだ。

その日、グリフィス球場には普段より2万人も多い31,000人の観客が詰めかけた。フェラーはV字型の枠がはめられた軍事用の砲弾スピード測定器に向かって30球程を投げたが、最高速度は時速98.6マイル(158キロ)と計測された。ただし測定器はホームプレート上に置かれていたから、その数字は終速に値する。これを現在通常の発表値となっている初速に換算すると、9マイルプラスして107.6マイル(172キロ)と推計されている。

このときの映像が残っているが、フェラーは測定器の枠内を通そうと、力を加減して投げているように見える(それでも凄い球)。余興ではなく、本番の緊迫した場面での全力投球ならば、さらに数字は跳ね上がっていたに違いない。

ちなみに、現在ギネスブックで最速記録とされている「カリフォルニア超特急」ノーラン・ライアンの数字は100.9マイル(161キロ)だが、これもほぼ終速の計時で、初速は108.1マイル(173キロ)だったという見方がある。

日本では、沢村栄治の球速がしばしば推測の的となる。かつてテレビ局の試みで、残されたフィルムから「159.4キロ」の数字が科学的に割り出されたというが、眉唾とする向きもある。当時の野球レベルから考えて、せいぜい140キロとする声も。剛腕ぶりを目の当たりにした証言者もいなくなり、沢村栄治のスピードボールはますます神話化していくことだろう。

References: Fastest Pitchers Ever Recorded in the Major Leagues
The 10 Hardest Throwing Pitchers in MLB History
Thirty-Two Fast Pitchers

Posted: 31 December 2010