いまや「昭和は遠くなりにけり」となった。昭和30年代に生まれた者がその歴史を省みたとき、「アポロ11号の月面着陸」や「三億円事件」などが印象的な事件・出来事として思い出されるが、それらに増して鮮やかに記憶によみがえるのが「長嶋引退」の場面。
ミスタージャイアンツ・長嶋茂雄が現役を退いたのは、昭和49年。
その日、中学校の授業を終えてすぐさま帰宅してテレビをつけると、ジャイアンツのシーズン最終戦、中日とのダブルヘッダー第1試合はすでに終了し、第2試合の中継中だった。合間に、第1試合の終了後、長嶋がグラウンドを回りながらファンに手を振って別れを告げた映像が繰り返し流された。外野のフェンス際で時々立ち止まっては、こらえきれずタオルで涙をぬぐう。スタンドのファンも泣き叫んで引退を惜しむ感動的な光景だった。そして第2試合が終わり、セレモニー。夕闇の中、「昭和33年、栄光の巨人軍に入団以来、今日まで巨人軍ならびに長嶋茂雄のために...」のメッセージが響いた。
晩年の長嶋は力の衰えが激しく、引退が間近いのは誰もが予感していたが、いざその現実に直面すると「ひとつの時代が終わった」という大人びた決まり文句が、中学生の心中にも感慨としてよぎった。昭和40年代、プロ野球といえば「王、長嶋、巨人」につき、ジャイアンツ以外のチームがペナントレースを制することはありえないように感じていたが、この年、ついに10連覇を絶たれる。
長嶋の桧舞台への登場は、立教大学時代の昭和31、2年頃から。そして引退したのが昭和49年。昭和の高度経済成長の幕開け・終焉の歴史と見事に軌を一にしている。
Posted: 11 April 2009
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