洋楽のスタンダードナンバーの中には、それとなく耳になじんでいながら、外国語の歌詞の内容はもとより、歌い手やタイトルさえよく知らないままのものがある。それだけに、曲の由来や原詞をひもとけば、懐かしい洋楽の名曲が、新たな味わいをもって聴きなおせる余地を多分に残しているともいえる。
40年以上前、小学校の学芸会か何かの催しで、PTAの母親グループが『ドミニク』という曲をコーラスで合唱した。「ドミニクニクニク心優しく~ 強い人で~」という歌い出し。ドミニクという貧しい聖人が、
苦難にめげず人々に愛を説いて回るという訳詞の内容だったが、子供心にも宗教的な趣きを意識させられた。「ドミニクニクニク~」の繰り返しやメロディーの軽快さが今も印象に残っている。
何とはなしに思い出して、ウィキペディアで調べてみると、この曲はジャンヌ=ポール・マリ・デッケルスというベルギー人の元修道女が1963年に作ったものだという。修道院仲間とささやかに歌い始め、バザーでレコードを自主販売しているうちに、次第に世界各地で人気に火がつき、やがてアメリカの権威ある音楽専門誌『ビルボード』のヒットチャートで1位を獲得する快挙を達成した。
デッケルスは芸名をラ・スール・スーリール(シスター・スマイル)と名乗って、一躍トップスターの座へ。しかし、彼女はその後波乱の生涯を送る。宗教生活に専念した後、芸能界復帰を試みて失敗したり、レズビアンであるとカミングアウトしたりする。金銭トラブルにも翻弄され、結局51歳で自殺するという、非業の最期を遂げている。『ドミニク』は、ヒット洋楽として日本ではザ・ピーナッツやペギー葉山がカバーした。
戦後日本に、欧米のさまざまな文化が流入し、音楽においても外国製ポップスやロックンロールが若者を中心に広がった。人間の自由と個性を尊重、開放的な雰囲気を醸し出し、あるいは強烈なメッセージを込めた洋楽は、日本的情緒とはまた異質で、日本の音楽シーンにロカビリーやグループサウンズ、フォークミュージックなどのブームをもたらした。スタンダードポップスをはじめとする洋楽が、日本人の「国際化」に果たした役割も少なからぬものがあったと思う。
Posted: 15 February 2009
懐かしの洋楽、スタンダードポップス名曲集
本文に戻る
洋楽スタンダードの懐かしい名曲をポップスを中心にリストアップしています。曲名をクリックすると動画が再生されます。


