休日に、新宿・歌舞伎町周辺の歩行者天国化した通りを歩いていると、ペルー人だか、ボリビア人だか、色が浅黒く彫りの深い南米系の人々の集団が、カラフルな民族衣装に身を包み、フォルクローレを演奏しているところに出くわすことがある。
photo by Martin St-Amant軽快なリズムと何となく郷愁を誘われる音色の轟きに思わず足が止まるが、結構多くの人たちが取り囲んで聴き入っている。
ほとんど初耳の曲ばかり流れる中、そろそろ『コンドルは飛んでいく』の演奏が始まりはしないかと期待して、立ち去りがたい。他にもそういう人がいるに違いない。
『コンドルは飛んでいく』は、言うまでもなくサイモン&ガーファンクルが、アンデス民謡をカバーして世界中でヒットさせた曲。彼らの歌には、自由への憧憬や抑圧からの解放がメッセージとして込められて味わい深いが、民族楽器のみで奏でられる原曲『El condor pasa』はいっそう物悲しく、アンデスの悠久の大自然がイメージされてくる。
同じく南米民族音楽が現代風にアレンジされて、世界的ヒットとなった例として、『ランバダ』がある。日本では、石井明美が1990年にカバーして流行った。アップテンポで情熱的かつ艶やかなダンスミュージックに仕立てあげられているが、原曲は『泣きながら(Llorando se fue)』というタイトルで、「泣きながらあなたは去っていった。思い出は悲しい涙色...」と訳詞される悲恋の歌である。こちらを聴いてみると、ケーナやチャランゴの響きが美しい哀調に満ち、同じメロディーでも『ランバダ』との対照の妙がある。
浅薄な捉え方だが、ラテン人の根っからの陽気さと、コンキスタドールによってアイデンティティを喪失した先住民の悲哀とが表裏一体となって、南米フォルクローレの独特の音楽が生み出されているように感じられる。
Posted: 17 August 2010
Reference: フォルクローレとは? ラテン音楽特集
フォルクローレ名曲選
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