未曾有の経済不況下、暗いニュースが多くて気が滅入る。こんな時に、ひとときでも明るい気分になるには、ドラマや映画の感動作を鑑賞するのが手っ取り早い。
アメリカ映画協会が、2006年に『感動する(元気づけられる)アメリカ映画ベスト100(100 Cheers: America's Most Inspiring Movies )』を発表している。
そこで1位にランクされたのが『素晴らしき哉、人生!(It's a Wonderful Life!)』。巨匠フランク・キャプラが1946年に製作した。
(以下ストーリー概略):ジェームズ・スチュアート演ずる主人公ジョージ・ベイリーは、アメリカの田舎町に住んでいる。子供の頃から他人への思いやりに人一倍溢れ、真冬の池で溺れかけた弟を命がけで救ったり、息子を亡くして失意にくれる薬屋の主人を、機転を利かして助けたりする。
高校卒業後、建築家になる夢を描いて町を離れようとするが、その矢先、小さな金融会社を経営していた父親が急逝し、周囲に請われて不承不承、あとを継ぐ。その会社は父親の方針で、町の貧しい人たちに住宅資金の融資を低利で続けてきた。ジョージも人々が住宅を持てるよう、儲けを度外視して商売を営みながら、学資を捻出して弟を大学に進学させる。いつも自分を後回しにして人に尽くす彼の行動を見て、町を牛耳る性根の悪い金満実業家ポッターは、お人好しと馬鹿にし、いやがらせをする。やがてジョージは相思相愛の幼馴染メアリー(ドナ・リード)と結ばれ、4人の子供をもうけて幸せに暮らすが、一方で都会に出て建築ビジネスに従事する夢を捨てきれないでいる。華やかに活躍する弟や友人たちに比べて、小さな田舎町でくすぶる自分にやるせない思いが募る。
ある年のクリスマス・イブの日、一緒に会社を切り盛りしていたおじの失敗とポッターの悪巧みから、ジョージの会社は8,000ドルの大金を紛失する。運悪くその日、会社には会計検察官が査察に来ていた。このままでは致命的なスキャンダルに見舞われる。万策尽き絶望したジョージは、雪が激しく降りしきるイブの夜、橋上から川に飛び込もうとするが、その時、眼前で一瞬先に身投げした老人を救い出す。実はその老人は、ジョージを助けるために天上からやってきた天使だった。生きることの大切さを悟ったジョージが自宅に戻ると、メアリーの訴えでジョージの窮状を知った町の人々が、これまで彼から受けてきた無私の行為に恩返しをしようと寄附金を手に次々と駆けつけてくる...
"No Man is a Failure who has Friends" (「友を持つもの決して敗者ならず」-大久保ゆう氏訳)。ラストで天使がジョージに書き残すメッセージだが、人生で重要なのは社会的に成功することではなく、他人と支えあって生きていくことだとこの映画は教えている。厳しい現実世界にあっては、シンプルすぎる教訓だが、ファンタジーで感動に浸ることも原点回帰には必要だ。
『素晴らしき哉、人生!』は、ユーモアやウィット、仕掛けが巧みで、映画学校ではしばしばお手本とされる映画だという。アメリカではクリスマスの時期にTV放映される定番映画となっているらしい。アメリカンドリームが尊ばれ、拝金主義のイメージも漂う国で、60年以上前のこの映画が「感動する(元気づけられる)映画」のNO1に評価されているのは示唆に富むものがある。
Posted: 14 January 2010
感動するアメリカ映画ベスト100
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