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『風と共に去りぬ』の舞台

中学生の頃、下校の音楽として毎夕校庭に流れていたのが『風と共に去りぬ』の主題曲「タラのテーマ」だった。1975年(昭和50年)秋、日本テレビがこの『風と共に去りぬ』を前・後編に分け2週にわたり放送。世界で初めて同映画のテレビ放映として話題になったが、見終わって、主演のヴィヴィアン・リーが演じたヒロイン-スカーレット・オハラの気性の激しさや自分勝手な振る舞いが強烈すぎて共感できなかった覚えがある。100年前の外国女性の半生記という設定も、その時は興味をそそられるものでなかった。

数年後、大学生となって、キャンパスの大講堂でこの映画の無料上映会が催され、友人と連れ立って再び観た。途中に休憩をはさみながら大型スクリーンで4時間に近い『風と共に去りぬ』前・後編一挙上映。終了後、自分も含め会場にいた学生の多くが、深く息つきながら感動に浸っていた様子だった。動乱の時代を激烈に生きたスカーレットの波乱万丈の人生、取り巻く人々との抜き差しならぬ愛憎、人の心や運命のよるべなさを壮大に描いたこの大河ストーリーが、名作として世界中で愛され続けていることが理解できたような気がした。

風と共に去りぬ(1枚組) [DVD] 原作は平凡な主婦だったマーガレット・ミッチェルが、10年の歳月を費やして書き上げた同名の小説『Gone With The Wind』。舞台は19世紀中頃、南北戦争時のアメリカ・南部ジョージア州が中心である。1936年に出版されるやたちまちのうちにベストセラーとなり、即座に映画化の話が持ち上がる。セルズニック・プロダクションが命運かけた『風と共に去りぬ』は製作の途上から注目が集まり、1939年に公開され史上空前の大ヒットとなった。アカデミー賞9部門を制覇している。

スカーレットの生まれ故郷は、ジョージア州の架空の町「タラ」。綿花栽培で成功した大農園の娘として生まれ育ったスカーレットにとって、タラの雄大な大地こそが、どんな困難にも屈しない彼女の強さの原点となっている。前編の最後の場面、戦火のアトランタから命からがら帰りついた生家は北軍に蹂躙され、見る影もなくすっかり荒廃・没落していた。かつての裕福な生活とは一転して、明日の食料にも事欠く貧窮の中、タラの大地を踏みしめスカーレットは、"As God is my witness, I'll never be hungry again! "と涙ながらに誓う。

そしてラストでは、南北戦争に惨めに敗北し、愛児を亡くしたうえ、かけがえのない夫レット・バトラー(クラーク・ゲーブル)にも去られ泣き崩れるスカーレット。その時、瞬間的に脳裏をよぎったのが、故郷タラへの想い。あっという間に気持ちを奮い立たせる。"Tara! Home. I'll go home, and I'll think of some way to get him back! After all, tomorrow is another day! (タラに帰ろう、故郷に帰ろう、そうしたら彼を連れ戻す方法を何か考えつくかもしれない。明日は明日の風が吹くわ!)"。タラの大地に思いを馳せることによって、彼女の悲嘆も風と共に去るのだ。

● 主人公スカーレット・オハラの生まれ故郷「タラ」(架空の地)があったといわれている周辺

 

Posted: 2 September 2009