2003年3月に勃発したイラク戦争は、闇夜の中、米英軍による首都バグダッドへの空爆攻撃で火蓋が切られた。バグダッドはたちまちのうちに陥落し、逃亡したフセインもやがて捕捉され、イラクに民主国家の成立が期待された。ところがフセイン残党の抵抗が今も続き、イラクは泥沼の混迷に落ちている。そしてテロが日常的に発生するバグダッドは、今、世界で最も危険な都市のひとつに数えられる。日本人旅行者の無残な犠牲も思い起こされる。
そのバグダッドは、かつて「平和の都(マディーナ・アッサラーム)」と呼ばれ、栄華を極めた。7世紀初頭にムハンマドがイスラム教を創始し、150年後には、アッバース朝の都に定められた。東西交易の拠点・商業都市として最盛期の人口は150万とも推定される世界最大の都となり、アラビアン・ナイトの舞台としても有名だ。バグダッドが往時の栄光と安寧を取り戻すのはいつになるだろうか。
古代から現代に、興亡を繰り返しながらも繁栄を続ける「都市の中の都市」といえば、ローマ。カエサル、オクタヴィアヌスの治世を経て帝政確立後、「パクス・ロマーナ」の時代を迎え、100万を超える首都ローマの人々は平和を享受した。中世にはルネッサンスの文化が花開き、今もローマを訪れれば近代的な街並みに帝国時代の遺跡が同居し、美術館を巡れば、中世芸術のきらびやかな香りに触れられる。
わずか400年足らずで、世界における政治・経済と文化の一大中心地と化したのがニューヨーク。ローマのような歴史の奥行きとは無縁だが、アメリカンドリームを求めてあらゆる国から集まってきた人々のエネルギーが、街に横溢している。
翻って、日本の東京。1000万人と世界最大の人口を誇る都市。大都市ゆえの弊害も内包する今日、当時も最大級の都市でありながら、理想的なエコロジーを実践していた「江戸への回帰」も叫ばれたりしている。
Posted: 3 November 2008
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